ぴりりと映画紀行

基本マイルド、たまにぴりりと映画についてあれこれ書きます

【おすゝ名画】早春

みなさん、大変ご無沙汰しております…m(__)m

特に何があった訳でもないんですが、しばらく休憩っ!と思っていたら、

うっかり半年も開いてしまいました(-_-;)

最初の記事を読み返したら

「少しでも多くの方に読んで頂けるような素敵なブログにしたいと意気込んでいるので

これからよろしくお願いします!!」

なんて書いていて、あやうくひっくり返るところでした(@_@)

穴が無くても掘って入りたい気分でございます。

 

これからは心を新たに、せめて月1ペースで!(まったりペースですが)

更新してゆけたらと思っております。

どうぞよろしくお願いします…!!!

 

ということで、前置きが長くなってしまいましたが、今回心新たにご紹介するのは…

 

「早春」1957年 144分 モノクロ 監督:小津安二郎

  出演者 淡島千景 池部良 岸惠子 他

作品について

小津安二郎監督は日本の映画黄金期を支えた名監督として名高いですが、彼の作品には

「穏やかでモダンな家庭」を舞台にしているものが多いイメージがあります。

しかし!しかし!この「早春」、テーマはなんと……

 

不倫哀愁」!!!

「ケッ心新たに紹介するのが不倫の話かよ」

「先が思いやられるぜ、まったく…」

そう思われた方、このブログはすっ飛ばして是非見てみてください、この作品を!

 

不倫をテーマにした作品はありふれていますが、小津監督の作品群の中では

かなり異色のテーマであり、

さらに今見ても新鮮な不倫の描き方をしているんです!!

 

登場人物

:杉山昌子(淡島千景

基本的には夫に尽くすし、ある程度我慢もする。さばさばした性格。

「なんでこんなところに紅ついてんの?」

こ、こわいッ!真面目にギクリ!としました。。。

でもね、ツンツンツンツンデレってかんじで可愛いところもあるんです!

:杉山正二(池部良

サラリーマン。いざとなるとはっきりものを言えない。

ある意味日本人的な性格なのかもしれないなあと思ったり。

池部さん、「昭和残侠伝」で健さんと2人して渋かっこいい漢!を演じてたのに、

ここでは全く情けないただのおっさんです。

愛人:金子千代(岸惠子

杉山の仕事仲間。「キンギョ」と呼ばれている。コミュ力高い系女子。

「奥さん憎らしくなってきちゃった。ウフフ、妬いてんのかな」

憎らしくなってきちゃったって…どっちのセリフだよ(# ゚Д゚)

でも、可愛いです、正直。

悪女っていうより小悪魔みたいな、そんな感じです。

 

この3人が主要人物です!

心に残った女性二人のセリフを本編より抜粋してみましたが、

やっぱり穏やかさのない設定ですねぇ…

 

ここがおすゝめ

おすゝめ No.01

これが小津調だ!絶対ぶれない強固なカラー!

見終わってから振り返ると意外にも、テーマはハードでもやっぱり小津作品だなあ

という感じが残ります。小津監督の作品はカメラワークが特徴的ですが、

それだけでなく、やはり作品を通した雰囲気が「小津調」なんですね。

では映画における雰囲気とはなにか。

私なりに考えてみたところ、監督のこだわりの集積

という表現が一番しっくりきました。

いうまでもなく、監督はその作品の最高責任者なので、基本的には監督がこうしよう

と言ったらその意思が反映されるものです。(そうじゃない例も多々あるようですが)

特に小津さんは脚本も書いているし、撮る前に頭の中で全てのシーンが出来上がって

いたのだそう。だからそれにそぐわない演技をすると何度でもやり直しをさせられた

とか。周りはものすごーく大変だったとは思いますが、それだけ作品に対する

こだわりが強かったということもできます。

そしてその、こだわりというのは人それぞれですから、それが集まると

「その人にしかない作品」つまりその人の「調」になるというわけです。

そう考えると、こだわりの強さはその人らしさの強さとほとんど同じことに

なりますから、小津調というのはやはり他のどの監督にも出せない「調」なんですね。

「早春」のテーマが他の作品と比べると異色であることは確かですが、

逆に異色のテーマを扱った作品で自分の持ち味を発揮することで既に確立された

「小津調」の強固さを世に知らしめる結果となったように思えます。

 

おすゝめ No.02 素晴らしい哉!三角関係!

三角関係そのものが素晴らしいと言いたいんじゃありませんよっ!

三角関係の描き方がとってもリアルで素晴らしい!

世に溢れる恋愛関係のもつれ話って、結構な確率で誰か死にますよね(笑)

いや、笑えませんが。

死なないにしろ誰かがひっどい目に遭う場合がほとんどです。

そんな展開の作品を観た後は「あちゃー」となります。

でも考えてみたら難しいんですよね、確かに。

それまでドロドロの関係を描いておいて、皆仲良くなりました、はいハッピーエンド!

となるのは違和感しかない。

オチで誰かが犠牲になるほうがまとまりがいいし!クライマックスになるし!

浮気すんなよというささやかな教訓にもなる!メリット多い!よし、決まりっ!

そうしてまた一つ、量産型昼ドラ系ドロドロ三角関係話が誕生するのであった…

というのは根も葉もないただの推測ですが('ω')

脚本家だって人間です。そんな風にして生まれた話も結構あるんでないの?

と睨んでます、私は(ー_ー)!!

もちろん、そういったドロドロした恋愛モノが悪いとは思いません。

ただ、個人的には(これは恋愛モノに限らずですが)型にはまり過ぎなもの、

何も新しさを感じられないものを見ても楽しめないというのがあって。これってまだま

だ若造だからかなとも思うんですが、とにかく何か新鮮さを求めてしまうんですよね。

そんな個人的な趣味嗜好のせいもあり、「早春」は凄いぞと。

 

少々前置きが長くなりましたが。で、ですね。

「早春」の三角関係の素晴らしいところはといいますと、

ドロドロしてない!

 

これにつきます。

つまりとことん量産型昼ドラ系ドロドロ三角関係話の型にはまっていないのです!

では、この3つの項目に関して、ネタバレしない程度に解説してゆきまーす!

 

ドロドロしていない!ということ

ドロドロしていないことについて考える前に、ドロドロしているって何ぞや?

というところから出発しなければなりませんね!ドロドロとはこう!みたいなものが

定義されてるわけじゃないので、あくまで個人の主観でしかないですが……

私が恋愛絡みの話でドロドロしてるなあと感じるのは、

①複数の関係がどんどん発展していく話②怨恨にフォーカスされている話です。

 

例えば、太郎と花子という夫婦がいたとします。

そして太郎は夏子さんと浮気をしているとしましょう。

 

①の場合

花子は太郎の胸ポケットから見覚えのないハンカチを発見、夏子のものだと確信する。

花子は夏子の夫・夏夫(超絶イケメン)に近づき、ハンカチを見せながら

夏子と太郎の浮気を夏夫にチクる。すると夏夫は青ざめた顔。

「これは俺が初恋の相手、秋子に渡したハンカチじゃないか!」

頭を抱える夏夫に、そっと寄り添う花子。見つめ合う二人…ダバダバ

 

②の場合

実は花子さんと夏子さんは中学時代の親友だった。しかし夏子は花子に片思いの彼を

奪われてしまうという苦い思い出があった。今回の太郎との浮気は太郎が好き

というよりも花子への仕返しのつもりで始めたものだったのだ。そのことに気が付いた

花子はプライドを汚されたことに立腹。夏子の浮気を夏子の夫・夏夫に話す。

夏夫は怒り、夏子と離婚する。

身寄りがなくなった夏子は、浮気相手の太郎に同棲したいと言うが、

自分には気持ちがないことを知った太郎は夏子を突っぱねる。

夏子は、太郎・花子の家に上り込み、太郎を射殺して、自分もピストル自殺。

夏子は死に際、花子に言うのであった。

「全部、ぜぇーんぶ、あなたのせいだから。死んだら呪ってあげる」←怖い…

 

と、私が思うドロドロ話を2パターン挙げました笑!ここまで酷い話って

あんまりないですが(-_-)/~~~でも、ドロドロしているなあと思う作品って、

大体このどちらかの要素が入っている気がするのです。

 

不倫モノでドロドロしていない作品もこの他に何作か見たことはありますが、

それって不倫する2人が中心に描かれていたり、あるいは仕方ない理由があったり

して、不倫モノというより純愛の結果が不倫になっちゃった(^_^;)

というのがほとんどではないでしょうか。

 

「早春」は主人公を不倫される側=妻に設定しながら、そして不倫を純愛としてでは

なく不倫として描きながらも、サバサバと進んでゆく後味のよい展開となっています。

 

おすゝめ No.03 冷めかけた夫婦の哀愁

この作品のもう一つのテーマ、夫婦の哀愁。

おそらくこれが、杉山・夫(池部さん)が不倫をしてしまった原因のひとつであり、

そう思うから観客も夫と金魚に批判的になり過ぎず、多少同情して見れるのかなと

思います。

ではここで描かれている哀愁とは何か。

それはある種の厭世観がベースになっていると思うのです。

厭世観というと、なんだか物騒なことが起こりそうな予感がしますが、

誰も自殺なんてしませんのでご安心を。

ここで描かれる夫の哀愁は「会社勤めってのもラクじゃねえなあ」対する妻の哀愁は

「家庭を持つってのもムズカシイわね」。

 朝早く起きて、満員電車でもみくちゃになりながら通勤し、会社にたどり着けば

仕事をもくもくとこなし、仕事が終わると飲みに行ったり行かなかったり。

あんまり遅く帰ってばかりだと浮気を心配されるけど、早く帰ってばかりだと

それはそれで奥さんたちも休まらない。

昔ですから、一度就職したら基本的にそこの会社に定年まで勤めるのが

スタンダードでしょう。定年までよく勤めていざ楽しい老後を。と思ったら

あっという間に天国へ。

妻は夫より前に起きていろいろ世話してやり、夫を送り出すと家事、近所づきあい。

そうこうするうちにあれ、もう夕飯の時間だわ!で急いで準備したのに

夫はなかなか帰ってこない。ようやく帰った夫は「飯?今日はいらないね」。

双方とも、これじゃあ日々の暮らしが常にストレスですよね。

杉山・夫の不倫は代わり映えのしない毎日に少々退屈し、刺激を求めた結果だった

のかもしれません。

 

で、ですね。これの何がおすすめなのかと言いますと。

心にずしんと圧し掛かるような描かれ方ではないところです。

淡々として突き詰めすぎない描写なのに、鑑賞後なぜか心に残る哀愁。

これが小津作品の味と言いますか、名物と言いますか、醍醐味と言いますか。

あんまりうまい言葉が見つからないんですが、そんなものなんじゃないかと。

東京物語」「秋刀魚の味」などを見て、最後に残るちょっぴり寂しい気持ち。

この作品も例に漏れず、そんな気分になりました。

白黒とか古い邦画とか、あんま興味ないし…というあなた、他の小津作品で

うっかり寝てしまったあなた、そして新しい不倫モノが気になっちゃうあなた!

是非、見てみてください!!

 

結局何が言いたいの?

 毎度のことになりそうですが、いろいろ書いたらものすごいボリュームになって

しまいました…最後に書いても意味ないかもしれませんが面倒になったらどうぞ

読み飛ばしてください…

ということで!お待たせしました。結局何が言いたいの?はい。「早春」という作品は

異色と見せかけて

  実は小津調ど真ん中!

       ネオ不倫モノの作品なのであるっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【おすゝ名画】殺人狂時代

「殺人狂時代」1967年 99分 モノクロ 監督:岡本喜八

 出演者:仲代達矢 団令子 砂塚秀夫 天本英世 他

 

作品について

好きな映画監督を聞かれたら、なんと答えますか?

私は迷わず岡本喜八!」と答えます。

そう、この作品の監督ですね。

そしてこの監督を好きになるきっかけとなったのがこの作品でした!

個人的にかなり思い入れのある作品ですので、いつもにも増して

長ーい記事になるかもしれないし、案外書くことないかもしれません(笑)

 

この作品はエンタメ色が強いですが、テーマは分かりやすいです。

ずばり……

反戦ダダーン!

反戦をテーマにしてはいますが、戦争のシーンは出てきませんし、

重い印象もありません。これについてはこの記事のここがおすゝめの中のトピックで

詳しく触れます!

 

登場人物

主人公:桔梗信治(仲代達矢

大学で「犯罪心理学」を教えている。

度のきっつい丸メガネをかけ、治らない水虫に悩まされている冴えない中年男。

マドンナ:鶴巻啓子(団令子)

雑誌の記者。

桔梗にお色気攻撃を仕掛けちゃったりする系女子。

でもって桔梗のこと好きになっちゃう系女子。

相棒:大友ビル(砂塚秀夫)

町のチンピラ。車の運転が得意。

桔梗の車を盗もうとしたところ20キロしか出ず見事に失敗し、逆ギレする。

でも普通にいい奴。

悪役:溝呂木省吾(天本英世

精神病院を経営すると同時に「人口調節審議会」なる殺人組織も運営している。

サイコ野郎。この天本さんの怪演は本当に光ってます✨

 

ここがおすゝめ

おすゝめ No.01

007・必殺仕事人ファン必見!武器のオリジナル感!

アクション映画の武器といって、思い浮かべるのはガン系、ナイフ・刀系、

車など乗り物メカ系。普通はこのへんかなと思ってます。

あとはチェーンソーとかとんでもないのが出てくることもあるようですが、

そうなってくるとグロメインだったりホラーテイストだったり。

純粋なアクションとは違うものになってきますよね。

ところが!この作品はアクションでありながら、武器が普通のガンや

ナイフだけじゃないんです!!

敵も味方も一見無害そうなフォルムのものを使って攻撃します!

ここら辺がちょうど007や必殺仕事人の武器のワクワク感と似てます。

どうやるんだろ…うわっ!!何これ!こう使うんかい!!すごっ!

とにやけること間違いなしです☆彡

てなわけで、両シリーズのファンの方には特におすゝめします!!

 

おすゝめ No.02

魅力的すぎる悪役!はまりすぎる天本!

主人公でも悪役でも、魅力的な人物がいるとストーリーがグッと面白くなりますよね!

映画やドラマにおいてキャラクターを魅力的にするのは、その人物の描かれ方

演出俳優の演技力かなと思います。

この作品で3拍子揃っている魅力的なキャラ。

それは他でもない「溝呂木省吾」でしょう!

個人的にはあの「羊たちの沈黙」の「ハンニバル・レクター」と同レベの魅力を

溝呂木に感じます…!

では彼のどこがそんなに魅力的なのか?

彼の魅力は

①容姿

②手ごわいこと

③彼なりの哲学

この3つに集約されていると思います。

①容姿

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うん、頑張りました。頑張って書きました(笑)

いまいち不気味さが伝わらないのが無念ですが、まあ外見的特徴はこんな感じ。

これで目を見開いて嬉しそーうに殺人を語るのです…ギョエっ(;゚Д゚)!!

お歳を召されてからはとっても柔和なお顔立ちになった天本さんですが、この作品では

柔和の真反対。凄い存在感。物凄い気迫。陰気で胡散臭い。

この作品を観るときは、彼に注目してみてください!

 

②手ごわいこと

やっぱり、敵はそれなりに強くなくちゃあいけねえ。そう思います。

主人公に敵があっけなくやられ過ぎて、

「嘘やん!こいつラスボスじゃなかったんかいっ!」

そう叫びたくなったこと、ありませんか?

安心してください、溝呂木強いですよ。

詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、主人公・桔梗と一騎打ち

がありますっ!お楽しみにっ!

 

③彼なりの哲学

こういうワケがあってこういうことをするのか!と納得できる理由を持っていること

これは善悪は抜きにして、キャラクターを魅力的に見せるうえでかなり重要なポイント

だと思います。

私たちはキャラクター独自の特徴が見えるところに魅かれるからです。

例えば「源氏物語」。光源氏はかなり派手な女たらしですよね。

まったく、何又かけてるんでしょうか…

しかもそのために女性を生霊にするわ、死なせるわ、出家させるわ、父を裏切るわ、

もう極悪非道と言われても致し方ないことをやっちゃってますよね、あいつ💢

それでも光源氏はキャラクターとして魅力的。

イケメンで何でも良くできる天才君であることも魅力ですが、これだけだと女たらしの

理由が弱いと思います。

世の女性はイケメンってだけでメロメロかもしれませんけど、

世の男性は全員敵に回すことになるでしょうっ( `ー´)ノ

そこで!紫式部ちゃんが彼に与えた設定・絶対に叶わない藤壺への、そして母への

憧れが活きてくるわけです!(藤壺とはなんだかんだで一夜を共にしちゃいますけど)

両想いなのに、成就しない恋なんて……ひどいっ!ひどすぎるよう!くーっ!!

読者はこのように源氏の生い立ちに同情しながら読むので、

たとえ節操という概念がまるでないかのような振る舞いでも、まったく源氏ったら

どんだけ女たらしてんだよ~と言いつつ読み進めちゃうのです!

そしてその納得できる理由というのは大抵、①生い立ちか、

もしくは②その人物が持つ筋の通った哲学に由来すると思います。

まあ、厳密にいえば生い立ちや今までの人生がその人物にその哲学を抱かせたことに

なりますが、単発の映画の場合は登場人物のバックグラウンドよりも話の展開に

時間を割かないと尺がヤバいことになっちゃうので、哲学が生まれる経緯については

明らかにされない場合が多いのです。

たまに大作とかシリーズものになると、しっかり生い立ちまで説明しているものも

あります。

いろいろ書いてしまって前置きがすっかり長くなってしまいましたが、

今回取り上げている溝呂木は②筋の通った哲学を持っています。

筋の通ったふーき!は持ってません。はい、すみません。

彼の哲学は殺人を推奨するものなので絶対に容認されてはいけませんが、論理的に

積み上げられてはいるんですね。

じゃあ、彼の哲学というのはどんな内容なのか。

「生きていても無駄な奴はどんどん殺そう!」というのがスローガンです*1

それ以上は、ネタバレになるので書けません…

見てのお・た・の・し・み♡ってことです!はい、すみませんでした。

 

おすゝめ No.03

喜八メガ盛り!作品に込められた反戦の想い!

エンターテイメント性、楽しい演出、テンポのよいカットと編集、

そして反戦というテーマ。

この「殺人狂時代」という作品には「岡本喜八」という監督の特徴がギュッ!と

詰まっているように思います。

なので、他の作品を観て既に「わ!この監督の作品好きかも!」

となっている方にはもちろんのこと、「岡本喜八って誰じゃい!」という方に監督

を知って頂くためにもゴリ押ししたい作品なんであります!

喜八監督作品の特徴について述べるとそれだけでかなり長ーくなってしまいますので

ここではこの作品においての反戦」の描かれ方に絞って書きますね!

冒頭でチラッと言いましたが、この作品は「戦争」そのものを描いているのでは

ありません!

結論から言うと、この作品は殺人を肯定する、つまり戦争を肯定する組織を

登場させて、主人公と対立させることで「反戦」を訴えているのだと思います。

悪役・溝呂木の「無駄なやつはどんどん殺そう!」という考えは傍から見ると

非常に邪悪で自己中心的に見えます。

しかし戦争も、自分の国にとって「都合が悪い」国を攻める行為なわけですから、

あまり本質は変わらないんじゃないかと思うのです。

溝呂木は「殺人狂」たちを駒のように使い、相手を殺し損ねたら「無駄なやつ」として

そいつを殺します。なんだか、国家によってなんの恨みもない相手を殺さなければ

ならない兵士たちと境遇が似ていますよね。

ここに出てくる殺人狂と兵士が大きく違うのは、人を殺すことに抵抗があるか否か

だけです。

このようにして溝呂木を中心とした小国家を悪として描くことで、戦争を強く批判する

監督のメッセージが浮き彫りになるのであります。

 

結局何が言いたいの?

ここまで読んでくださった方、本当に本当に長く拙い文章にお付き合い頂いて

ありがとうございましたm(__)mm(__)m

気付いたら3000字超えてました(;´・ω・)

読み飛ばした方、つまんねーよおいコラと思われた方、もっと面白い文章が

書けるように頑張りますのでどうかご勘弁を……

さて、お待たせしました。結局何が言いたいの?

殺人狂時代という作品は

喜八メガ盛りサスペンスアクション×反戦映画だっ!!

なんじゃらほい!という方は是非、中身を読んでみてくださいm(__)m

*1:+_+

【おすゝ名画】婚期

【おすゝ名画】では私が個人的に大プッシュしたい作品を紹介していきます!

熱く語りますので(笑)毎回長文になるかと思いますm(__)m

全部読むのはめんどくさーいという方は一番最後、キャッチコピー的な紹介をしている

結局何が言いたいの?だけでも

ぜひ見てみてくださいっ!

というわけで、今回ご紹介するのは……

「婚期」1961年 98分 カラー 監督:吉村公三郎

 出演:京マチ子 若尾文子 野添ひとみ 船越英二 高峰三枝子 北林谷栄 他

 

作品について

テーマはずばり、結婚!!

結婚に関して、大きく3つの状態がありますよね

①未婚

②結婚している♡

③結婚したが別れた…

この3パターンの女性が出て来てああだこうだと言いあうホームコメディなのです!

 

登場人物

事業家で裕福な暮らしをする「唐沢家」が舞台。

言葉で説明はちょっと複雑なので家系図にしてみました!

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手書きなので 見辛いですが…

の色分けはそれぞれ未婚既婚バツイチです

 

長女:冴子 

家を出て一人で暮らし

ファッションの仕事をバリバリこなすキャリアウーマン。

離婚してやったぜ☆彡とせいせいしている感じ、かっこいいっす

長男:卓夫

有能な事業家。静と結婚しているが結構モテるのでいろいろとある

どんなにモテても、調子にのってはいけません🚫

嫁:京マチ子

卓夫の妻。卓夫とはあんまりいい関係でもない

義理の妹たちにいびられるが、けっこう呑気にやっている

ナイスキャスティング!!京さんは本当に幅広い役を器用にこなしますね!

次女:波子若尾文子

29歳未婚。書道の先生をしている

現代の感覚だとそれほど焦る必要もないが、

当時は25くらいまでに結婚する人が多かったらしい。ので、焦っている。

性格はチャキチャキ系。

こういう友達は欲しい!こういう家族は…いらん!

三女:鳩子野添ひとみ

24歳未婚。劇団員。波子と同じく結婚を焦りはじめている。

次女・波子と三女・鳩子は結託し、兄嫁・静をイビったり、婆やを困らせたりする

憎めないちゃっかり屋。

波子に同じく。でも波子と鳩子の関係はちょっと憧れますね。楽しそう!

次男:典二郎

学生。派手で少々下品なガールフレンドがいる。姉たちの喧噪を遠目で見ている。

結婚しないまでも、ガールフレンドは慎重に選びましょう!

婆や

唐沢家に先代の時から奉公してきた。波子や鳩子に困らせられている。

 

ざっとこんなファミリーです。

字を大きくした3人がメインでいろいろな騒動が引きおこりますっ!

 

ここがおすゝめ

豪華な俳優陣が放つ見せ場のオンパレード!

オープニングの雰囲気はいたって平和で、小津作品みたいな感じ。

テーマ曲もワルツで眠気さえ誘うようなのどかさですが、いざ始まってみると…

最初からから最後までテンポ良い会話がポンポン飛び交います!

もうこれでもかってくらいの完璧なセリフ回し

見せ場のオンパレードです!

中でも印象的なのは若尾&野添姉妹の京さんイビり!!

二人とも決して嫌な性格ではありませんが、とにかくイビります。

女子高の悪ノリにみたいな気分なのでしょう。ちょっと懐かしい。

で、京さんも負けずに反撃

さらに、婆やの北林谷栄さんがとってもいい味をだしています。

あまり掛け合いは多くないんですが、ひとりでぼやいてるのが何とも言えず

絶妙な面白さなんですよね。脇役ながら存在感があって、この役は彼女にしか

出来ない役だったのではないかと思います。

 

素晴らしいコメディエンヌによる魅力的なオリジナル脚本!

そうなんです!この脚本、オリジナルなのです!

ということはこのストーリーもセリフも作品自体もすべて、

この作品の脚本家・水木洋子さんなくしては生まれなかったということになります!!

女優陣のコメディエンヌっぷりについては上で語りましたが、

これだけ素晴らしいエンターテインメントコメディを、何もないところから

生み出した水木さんの笑いのセンスも相当なものだとお見受けします!

 

ところでよく考えると、この作品での嫁・静の立ち位置は

かなりかわいそうなものですよね。

だって、考えてみてください。

あなたがもし、夫は冷たく、2人の義理の妹にあることないこといびられまくる

という環境にいるとしたらどうでしょうか。

絶対嫌ですよね、こんなの。

私だったら鬱になるかもしれないし、夫と離婚するかもしれません。

少なくとも皆さん、マイナスな感情を持つと思うんです。

しかし水木さんは静というキャラクターに呑気さとしたたかさを与えることで、

見事なコメディテイストに仕上げているのです。

もちろん静自身は呑気にいびりをかわしながらも、

生活をエンジョイできているわけではなく、涙をこぼすシーンもあります。

さらに静をいびる2人だってコメディとしての意識はないし、

夫だって婆やだって、登場人物は皆、普通に生活を送っているだけです。

でもそれをみている私たちはなぜか笑ってしまう

その登場人物と観客のギャップこそが、この作品の魅力だと思っています。

 

では水木さんはなぜ、この家庭をそんな風に描いたのでしょうか?

ここからは私の勝手な推測にすぎませんが、渦中にいると大変だけど

客観的にみると笑い飛ばせることもあるよ、と言いたかったのかなと。

実際に、私はこの映画を通していっぱい笑い、とっても元気になりました。

自分が今悩んでいることも、ひょっとして静の悩みのように笑い飛ばせる

ことなのかも…!と思わせてくれるような、

普遍的な力がこの作品にはあるんじゃないか、そう信じてます!!(笑)

ん?何かこんなメッセージ、どこかで聞いたような……

「あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ」

そうです!その通り!みなさんご存じ、中島みゆきさんの名曲「時代」の歌詞に

出てくるではありませんか!

それにしてもコメディの裏にこんなエールを込めるなんて、

水木さんったらなかなか粋なことしてくれたんですね!

 

結局何が言いたいの?

ここまで読んでくださった方、拙い文章にお付き合い頂き、ありがとうございました!

中を飛ばしてぴょーんと飛んできた方、いろいろ述べてますので、気が向いたら

読んでやってくださいませm(__)m

で、結局何が言いたいの?

はい、婚期という映画は

素晴らしいコメディエンヌたちによる

名曲「時代」コメディだ!!!

ということです!!

意味わからんよおい、という方は中身読んでみてくださいっ(笑)

はじめまして!

みなさんはじめまして!

「ぴりりと映画紀行」管理人のとうがらしです。

まずは自己紹介を。

映画大好きな大学生です!

ジャンルは問わず、いろいろ観漁って勉強中です。

好きな邦画は

江分利満氏の優雅な生活」「殺人狂時代」「ゴジラ」「ルパン三世 カリオストロの城

好きな洋画は

ハリーポッターとアズカバンの囚人」「猿の惑星」「007カジノロワイヤル」

好きな俳優は

モーガンフリーマン ゲイリーオールドマン 小林桂樹 仲代達矢 新珠三千代

好きな監督は

岡本喜八

今年の目標は

もっと映画館で観ること!です!

 

続いてこのブログについて。

作品についてはもちろん、監督について、俳優について、などなど…

映画に関することを幅広く書いていこうと思っています。

唐辛子のようにホットな記事を、基本マイルドに、ときたまピリリとお届けできれば

幸いです!

 

最後にひとこと!

少しでも多くの方に読んで頂けるような素敵なブログにしたいと意気込んでいるので

これからよろしくお願いします!!