ぴりりと映画紀行

基本マイルド、たまにぴりりと映画についてあれこれ書きます

【おすゝ名画】婚期

【おすゝ名画】では私が個人的に大プッシュしたい作品を紹介していきます!

熱く語りますので(笑)毎回長文になるかと思いますm(__)m

全部読むのはめんどくさーいという方は一番最後、キャッチコピー的な紹介をしている

結局何が言いたいの?だけでも

ぜひ見てみてくださいっ!

というわけで、今回ご紹介するのは……

「婚期」1961年 98分 カラー 監督:吉村公三郎

 出演:京マチ子 若尾文子 野添ひとみ 船越英二 高峰三枝子 北林谷栄 他

 

作品について

テーマはずばり、結婚!!

結婚に関して、大きく3つの状態がありますよね

①未婚

②結婚している♡

③結婚したが別れた…

この3パターンの女性が出て来てああだこうだと言いあうホームコメディなのです!

 

登場人物

事業家で裕福な暮らしをする「唐沢家」が舞台。

言葉で説明はちょっと複雑なので家系図にしてみました!

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手書きなので 見辛いですが…

の色分けはそれぞれ未婚既婚バツイチです

 

長女:冴子 

家を出て一人で暮らし

ファッションの仕事をバリバリこなすキャリアウーマン。

離婚してやったぜ☆彡とせいせいしている感じ、かっこいいっす

長男:卓夫

有能な事業家。静と結婚しているが結構モテるのでいろいろとある

どんなにモテても、調子にのってはいけません🚫

嫁:京マチ子

卓夫の妻。卓夫とはあんまりいい関係でもない

義理の妹たちにいびられるが、けっこう呑気にやっている

ナイスキャスティング!!京さんは本当に幅広い役を器用にこなしますね!

次女:波子若尾文子

29歳未婚。書道の先生をしている

現代の感覚だとそれほど焦る必要もないが、

当時は25くらいまでに結婚する人が多かったらしい。ので、焦っている。

性格はチャキチャキ系。

こういう友達は欲しい!こういう家族は…いらん!

三女:鳩子野添ひとみ

24歳未婚。劇団員。波子と同じく結婚を焦りはじめている。

次女・波子と三女・鳩子は結託し、兄嫁・静をイビったり、婆やを困らせたりする

憎めないちゃっかり屋。

波子に同じく。でも波子と鳩子の関係はちょっと憧れますね。楽しそう!

次男:典二郎

学生。派手で少々下品なガールフレンドがいる。姉たちの喧噪を遠目で見ている。

結婚しないまでも、ガールフレンドは慎重に選びましょう!

婆や

唐沢家に先代の時から奉公してきた。波子や鳩子に困らせられている。

 

ざっとこんなファミリーです。

字を大きくした3人がメインでいろいろな騒動が引きおこりますっ!

 

ここがおすゝめ

豪華な俳優陣が放つ見せ場のオンパレード!

オープニングの雰囲気はいたって平和で、小津作品みたいな感じ。

テーマ曲もワルツで眠気さえ誘うようなのどかさですが、いざ始まってみると…

最初からから最後までテンポ良い会話がポンポン飛び交います!

もうこれでもかってくらいの完璧なセリフ回し

見せ場のオンパレードです!

中でも印象的なのは若尾&野添姉妹の京さんイビり!!

二人とも決して嫌な性格ではありませんが、とにかくイビります。

女子高の悪ノリにみたいな気分なのでしょう。ちょっと懐かしい。

で、京さんも負けずに反撃

さらに、婆やの北林谷栄さんがとってもいい味をだしています。

あまり掛け合いは多くないんですが、ひとりでぼやいてるのが何とも言えず

絶妙な面白さなんですよね。脇役ながら存在感があって、この役は彼女にしか

出来ない役だったのではないかと思います。

 

素晴らしいコメディエンヌによる魅力的なオリジナル脚本!

そうなんです!この脚本、オリジナルなのです!

ということはこのストーリーもセリフも作品自体もすべて、

この作品の脚本家・水木洋子さんなくしては生まれなかったということになります!!

女優陣のコメディエンヌっぷりについては上で語りましたが、

これだけ素晴らしいエンターテインメントコメディを、何もないところから

生み出した水木さんの笑いのセンスも相当なものだとお見受けします!

 

ところでよく考えると、この作品での嫁・静の立ち位置は

かなりかわいそうなものですよね。

だって、考えてみてください。

あなたがもし、夫は冷たく、2人の義理の妹にあることないこといびられまくる

という環境にいるとしたらどうでしょうか。

絶対嫌ですよね、こんなの。

私だったら鬱になるかもしれないし、夫と離婚するかもしれません。

少なくとも皆さん、マイナスな感情を持つと思うんです。

しかし水木さんは静というキャラクターに呑気さとしたたかさを与えることで、

見事なコメディテイストに仕上げているのです。

もちろん静自身は呑気にいびりをかわしながらも、

生活をエンジョイできているわけではなく、涙をこぼすシーンもあります。

さらに静をいびる2人だってコメディとしての意識はないし、

夫だって婆やだって、登場人物は皆、普通に生活を送っているだけです。

でもそれをみている私たちはなぜか笑ってしまう

その登場人物と観客のギャップこそが、この作品の魅力だと思っています。

 

では水木さんはなぜ、この家庭をそんな風に描いたのでしょうか?

ここからは私の勝手な推測にすぎませんが、渦中にいると大変だけど

客観的にみると笑い飛ばせることもあるよ、と言いたかったのかなと。

実際に、私はこの映画を通していっぱい笑い、とっても元気になりました。

自分が今悩んでいることも、ひょっとして静の悩みのように笑い飛ばせる

ことなのかも…!と思わせてくれるような、

普遍的な力がこの作品にはあるんじゃないか、そう信じてます!!(笑)

ん?何かこんなメッセージ、どこかで聞いたような……

「あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ」

そうです!その通り!みなさんご存じ、中島みゆきさんの名曲「時代」の歌詞に

出てくるではありませんか!

それにしてもコメディの裏にこんなエールを込めるなんて、

水木さんったらなかなか粋なことしてくれたんですね!

 

結局何が言いたいの?

ここまで読んでくださった方、拙い文章にお付き合い頂き、ありがとうございました!

中を飛ばしてぴょーんと飛んできた方、いろいろ述べてますので、気が向いたら

読んでやってくださいませm(__)m

で、結局何が言いたいの?

はい、婚期という映画は

素晴らしいコメディエンヌたちによる

名曲「時代」コメディだ!!!

ということです!!

意味わからんよおい、という方は中身読んでみてくださいっ(笑)